OEWG5:3日目

20221205_Day3(吉川)

こんにちは、ありさです!少々報告が遅れ気味ですね、、ごめんなさい。

会議傍聴、他国ユースとの交流、日本とのやりとり等々、やることが盛りだくさんですのでご容赦ください。みなさんにお伝えできることも、毎日増えていきます!

午前中は休息をとり、この日は午後から会議を傍聴しました。

まずはCG3。生物多様性条約の3原則は①生物多様性の保全、②生物多様性の構成要素の持続可能な利用、③遺伝資源の利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分ですが、そのうち②の持続可能な利用に関するターゲットを扱うのがCG3です。人間の需要を満たす自然を如何に持続させるか、と言った話が主です。まず話し合われたのはターゲット9。自然が人間にもたらす利益についてで、野生生物管理や生物多様性保全に基づいた製品の促進、などが議論されています。トロフィーハンティング(生活のためではなく、趣味で行う狩猟。動物倫理の観点からは非難されるが、この狩猟料金が、その地区の生態系保全に使われる場合もあり、一概に悪と決めつけることはできない。)など、かなり具体的な話もされていました。国際的な行動目標で具体的な文言を入れるのは果たして吉と出るか凶と出るか、定かではないと個人的には思いますが…。

次はターゲット10。主に生物多様性に基づいた持続可能な管理(第一次産業)を扱うのですが、農林水産業のうち、ほぼ農業の話しかされません。農業先進国の声が非常に大きく、新しい論点がどんどん追加されていき、議論はなかなか進みません。議長が各国に歩み寄りを求めるも、言うことをきかないのです。私は6月にナイロビで行われたOEWG4も傍聴していたのですが、議論は進むどころか更に混沌としており、OEWG5をCOP15直前にねじ込んだ意味はあったのか、疑問に感じました。条文交渉は、科学的根拠に基づいているというよりは、最終的には各国の利益交渉であり、発言して自国の主張を通すことが国益になるのは間違いないのですが…。

夕方は、30by30達成(2030年までに陸域・海域のそれぞれ30%を保全しよう、という目標。)のため、公平なガバナンスを如何に行うか?というテーマの国際自然保護連合の保護地域に関する世界委員会が進行するセッションに参加しました。国際自然保護連合がまとめた保護地域のガバナンスの種類(政府、多様なステークホルダー間、個人・民間組織、IPLCs)や、質を担保するための基準や生物多様性条約事務局が定める「公平なガバナンス」とは(良いガバナンスの鍵はEquityであると定められていて、参画権利の認知、政策決定、透明性、責任を統合した手続き、保護地域管理により生まれた利益の配分がEquityの構成要素)などが解説されました。その後、公平なガバナンスの理解と実施を,参画の権利を保証する形でどう推進していくか、というテーマでディスカッションが行われました。OEWG5期間中は、立場に関係なく意見交換をする機会が乏しいので、かなり貴重でした。推進するにはインセンティブが必要だがそのためには予算が足りないといった声や、PA(Protected Area。保護地域。)への登録は厳しいという意見、新しいPAを作るだけではなくIPLCsが貢献するエリアへのリスペクトが必要という意見などがありました。

夜は、Plenaryを傍聴しました。1日目のプレナリーとは違い、最終日は各コンタクトグループの議論の振り返りを行います。まずは議長が議論の進捗の概略を説明し、その後、参加した国から追加で主張を拾う、という流れになります。ここですんなりと行けば良いのですが、、、ターゲット22、女性の権利・参画を扱うCG4の報告の際に、ロシアが「gender representive」の部分で中々合意せず、何度も議長とやり取りを行い、プレナリーの進行が止まってしまう、という事態が起きました。結局ロシアは妥協し会場からは拍手が沸き起こりました。他にも「この部分に納得が言っていない」という主張をする国は多く、COP15でなされる議論はさらに複雑かつ遅々としたものになるのだろうな、という予想をしています。

OEWG5はこれにて終了。COP15に移行しますが、政府間交渉のみならず、数多くのセクターによるサイドイベントやパビリオンも目白押しのため、とても楽しみにしています。

私たちは、第15回生物多様性条約締約国会議(CBDCOP15)でブース出展を行うため、クラウドファンディングに挑戦中です!ご支援ご協力、どうぞよろしくお願いいたします。

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