COP15:2日目

こんにちは。ありさです。そろそろ日本のお米が恋しくなってきました。

毎日インプットが多く、聴くのは正直疲れますが、たくさんの新しい情報を得るのはやはり楽しいです。今自分が日本で課題だと感じていることは世界ではどう捉えられているのだろう…という疑問が、少しずつ解消されていく快感があります。倒れない程度に頑張ります。

ある種大型イベントとして開催され注目を浴びる(日本ではあまり報道されていないようですが…)CBDCOP15では、様々なことが議論されると同時にあらゆるセクターによるサイドイベントが開かれています。情報発信・ネットワーキングの場となっており、プレゼンやパネルディスカッションなどの形式で最新の動向が伝えられます。中には参加者どうしでディスカッションをするものもありました。個人的には、ビジネスや経済、IPLCsの貢献に関するイベントが多いように感じています。学生にとっては良い学びなので、私はとても楽しみにしていました。

今回は、8日に参加したサイドイベントのうち2つをレポートします。

一つ目は、「Biodiversity Credits: Risks and Opportunities」という題の、生物多様性分野のクレジットの可能性についてのパネルディスカッションでした。気候変動分野ではカーボンクレジット(温室効果ガスの削減効果を排出権として売買する制度)が進み、市場価値が認識されるようになってきていますが、生物多様性分野ではまだまだビジネスからのアプローチが十分でないのが現状です。「Beyond Carbon」と強調されていたのが印象的でした。企業は事業による自然への影響を考慮する必要があり、自然環境にとってオフセットにならないように、そしてカーボンクレジットとのシナジーを生み出せるような計画が必要だと、パネリストは述べていました。生物多様性保全への財政支援が望まれていると強調していました。

しかし、生物多様性が気候変動と大きく違うのは、価値指標がかなり複雑であるという点です。CO2削減効果は数値として比較的測定しやすいですが、生物多様性は何か一つの指標があるわけではなく、遺伝子レベルから生態系レベルまでの広範囲を考慮しなければならず、ビックデータを活用する必要が出てきます。カーボンクレジットから学ぶことは?という参加者からの質問に対し、市場価値を注意して認識し、カーボンクレジットに付随するような仕組みではなく、カーボンマーケットでなされていないような仕組みをつくることが必要だという回答がありました。また、カーボンクレジットとのオフセットについては、無くすのは簡単ではないが、いくつかの指標を活用し、またTNFDを使う必要があると述べていました。

パネリストのひとりに、マサイ族出身の方がおられました。彼が強調していたのは、IPLCs(Indigenous peoples and local communities;先住民族・地域社会)のコミュニティーを自然へのアプローチに使用するべき、ということでした。今回のCOPでIPLCsの貢献はほぼすべてのテーマで触れられている重要トピックですが、よりローカルな生物多様性保全地域に目を向け、モニタリングをしてクレジット制度を確立する必要があると述べておられました。

二つ目は、「IPBES Sustainable Use and Values Assessments: Implications for the new Global Biodiversity Framework」です。IPBES(生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォームが発行した『the thematic assessment report on  the sustainable use of wild species』『the methodological assessment report on diverse values and valuation of nature』の概説と、そのポスト2020枠組への貢献にすいて説明されました。

冒頭に、生物多様性事務局の副事務局長であるデヴィッド・クーパーさんが登壇されました。野生種の利用に関して、経済的な価値に加え科学的知見を認

しよう、という話をしていらっしゃいました。

今回のレポート執筆にあたり、コロナ禍にも関わらず多くの研究者が携わったとのこと。ポスト2020枠組(特に関連するのはターゲット9)に対して社会生態学的なアプローチをしています。

多くのひとがあらゆる目的で野生種を利用していますが、それを持続的に行うことはSDGsのゴール達成にも貢献します。IPBESの報告書では、SDGsゴールごとに、何パーセント野生種利用が関係していて何パーセント貢献しているのかが数値化されています。気候や自然だけでなく、貧困、経済成長などのゴールも部分的に貢献しているようです。人間が自然にアクセスする(例えば世界貿易なども含まれる)ということは、かなり大きな影響があります。

持続可能な野生種の利用は、生物多様性損失の流れを逆行させます。乱獲が主な危機ですが、ローカルな保全活動の成功事例を他にも適応させることが効果的な管理手法としてあげられています。このように、生物多様性の損失に立ち向かうためには、IPLCsの貢献も必須です。野生種の利用は、多くのIPLCsのアイデンティティ・存在の中心である、と報告書では述べられています。

トランスフォーマティブチェンジには自然の価値を計上することが必要であり、短期間で大きなインパクトを与える価値ではなく、社会にとって持続可能で整合性の取れた価値を育むことが必要である、と共有されました。

人間が自然を利用しないといけないのは当たり前で、人間ありきの自然をどう保つか、が重要になると思います。

私たちは、第15回生物多様性条約締約国会議(CBDCOP15)でブース出展を行うため、クラウドファンディングに挑戦中です!ついに目標金額の半分を達成いたしました。誠にありがとうございます。引き続きご支援ご協力、どうぞよろしくおねがいします。

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