生物多様性とは?

生物多様性とは?

生物多様性は、失われゆく自然環境に対する関心が高まり始めた1980年代にできた、比較的新しい言葉です。そのため聞いたことがある方は少ないかもしれません。これを機に、鼻高々と語ってみてはいかがでしょうか。

では生物多様性とは一体何なのでしょうか。

生物多様性とは、多様な姿形、性質を持ったいきものの多様性のことです。生きものは互いにつながりあい、支えあって生きています。私たち人間も同じです。

このようなつながりは何十億年という長い歴史の中で形成されたかけがえのないもので、生きものの個性でもあり、それ自体に価値があるのです。

生物多様性 〜3つのレベル感〜

生物多様性には大きく分けて、生態系、種、遺伝子の3つのレベル感があります。それでは順に見ていきましょう。

生態系の多様性

生態系とは、生きものとそれを取り巻く水や空気などの環境全体のことを指す言葉です。そのため、様々なスケールでとらえることができます。

例えば、都市や里山、山、川、海、水田、土壌、そして一本の木でも、その木を生きものの生息環境として捉えることで生態系として捉えることができます。

色々な生息環境があれば生きものの多様性も高まります。このような生息環境の多様性のことを「生態系の多様性」といいます。

生態系の多様性
種の多様性

生物多様性と聞いてパッと出てくるのが、種の多様性ではないでしょうか。種の多様性とは、色々な生きものがいるということです。例えば里山という一つの生態系の中にも、二ホンジカやアマガエル、ドジョウ、タンポポ、ナミテントウなど様々な「種」がいます。種の多様性が高ければ生物多様性も高まることは想像しやすいですよね。

種の多様性
遺伝子の多様性

生物はみな、体の設計図である遺伝子を持っています。しかし、一つとして同じ遺伝子はなく、ヒトという同じ種でも一人一人違った顔や体質しています。ナミテントウにも様々な模様や色があることが有名です。

私たちからして見たら、他の生物は見かけ上同じに見えるかもしれませんが、たとえ見かけには現れていなくても、実は目には見えない部分で違いがあります。このように同じ種でも個体ごとに違いがあることが「遺伝子の多様性」なのです。

遺伝子の多様性

生物多様性の重要性

上記では、生物多様性とは何かを説明してきました。では、このような生物多様性にはどのような価値があるのでしょうか。

実は、生物多様性は人々が安定した生活をおくる上で欠かせないものなのです。

生態系サービス

私たちは、生物多様性を基盤にして生活をしています。豊かな生物多様性によって、人々が様々な恵みを受けることを「生態系サービス」と言います。国際連合が主導で行った「ミレニアム生態系評価(MA)」にも、生態系サービスが定義されています。

生態系サービス
衣食住や遊びに欠かせない

生態系サービスのひとつにはまず、食べ物・水や衣服・建物の原材料を供給するというサービスがあります。

また、生物多様性は薬をつくるためにも欠かせません。例えば、植物からもたらされた物質によって、様々な病気に対する薬がつくらます。

他にも、ハイキングなどのレクリエーションに豊かな生物多様性は欠かせません。

地球上の様々な生きものにとって欠かせない生物多様性

人間だけでなく、様々な生きものが生きていくためには豊かな生物多様性があることが重要です。生物多様性によって、大気や水量、気候を調整し、災害を防いだり様々な生物に対して生息地を提供することができます。

生物多様性の危機

6度目の大量絶滅期

上で説明したように、生物多様性には人々にとっても価値があります。その一方で、生物多様性は世界中で損失されています。

現在、人々の活動が原因となり、6度目の大量絶滅期に瀕しているといわれています。「IPBES」(生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学-政策プラットフォーム)は、このままでは100万種の生物が絶滅する可能性があると発表しています。

将来に豊かな生物多様性を残すには、大きな社会変容が必要なのです。

生物多様性の損失が止まらなければ、生態系サービスも失われ、私たちの生活にも大きな影響を与えることになるでしょう。

まとめ

このページでは、生物多様性とはなにか、生物多様性によって私たちは何を得ているのかを説明しました。

生物多様性わかものネットワークは「自然と共生する」社会を構築するために社会変容を起こすような活動を目指しています。

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